イントロダクション
この二つの偶然が必然となった時、どのような世界が現れるのだろうか。
そこにはどんな足跡が刻まれ、どんな風が吹くのか。
2011年から開始し今回4回目となる “JCDN国際ダンス・イン・レジデンス・エクスチェンジ・プロジェクト”は、海外と日本両国のアーティスト・観客―舞台芸術全体に対し、双方向への創造・発信を目的に行ってきました。今回このプロジェクトに招へいするアーティストは、アフリカの誇りと歴史を持ちながら米国N.Y.で活動するノーラ・チッポムラさんです。
ノーラと初めて会ったのは1年前の春、テキサス州オースティンという町。彼女の作品「Miriam」を観た後、短いひと時を共にしました。「自分が本当に意味のあると思うことに向き合い、じっくり取り組める仕事がしたい。」静かに語るこのノーラの言葉に、深い共感を覚えました。ちょうど時同じ頃、演出家の飯名尚人氏から人間の絶望と希望が混在するような、体の中に風が吹き抜けるような「熱風」という不思議な作品の構想を聞きました。そして、この作品がノーラのダンスを欲していると。
この二つの偶然が必然となった時、どのような世界が現れるのだろうか。そして、それはどんな足跡を残すことになるのか。ノーラと日本の同時代の作家の視点を通して、今まで見えなかった”何か”を見たいと思う。
プログラム・ディレクター:水野立子